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8 ウィンドウシステムの利用

8.1 ウィンドウシステムとウィンドウマネージャ

ウィンドウやマウスを使うための仕組みを提供する一連のプログラムをウィンド ウシステムと呼びます。UNIX で標準的に用いられるウィンドウシステムは X Window System です。

X において ウィンドウの外観やウィンドウの操作方法を決める プログラムを ウィンドウマネージャと呼びます。 ウィンドウマネージャとしては様々なプログラムが開発されていますが 33, ワークステーション室のシステムを標準設定で利用しているときに動作している のは twm (Tab Window Manager) です。

ここで,ウィンドウマネージャの役割を確認するために,twm を止めてみましょ う。次の操作を試してください。

  1. 画面上でウィンドウが存在しないところ34にマウスのポインタを移動してから, マウスの左ボタンを押したままにします。
  2. メニュー項目の Exit のところまで,左ボタンを押したままでマウスを 動かし,左ボタンを離します。
ウィンドウマネージャが終了すると,ウィンドウを囲んでいた枠やタイトルの表 示が消えるとともに,ウィンドウの移動や大きさ変更等の操作ができなくなりま す。すなわち,これらの機能を提供するのがウィンドウマネージャです。

おまじないとして「twm &」を実行して,画面を元の状態に戻しましょう。

8.2 ウィンドウ操作

8.2.1 準備

まず,kterm & を実行してください。 画面に枠が表示されたら,マウスを適当に動かして左ボタンを押してください。

kterm はコマンド入力用のウィンドウを新たに作るコマンドです35。 twm を使っている場合,マウスを使って枠を動かして,新しいウィンドウの位置 を定めます。

8.2.2 ウィンドウの操作

以下に紹介するウィンドウの操作法は,twm を標準的な設定で利用している場合 のものです。twm を異なる設定で使っていたり,twm 以外のウィンドウマネージャ を使っている場合,以下とは操作方法が異なることがあります。

8.2.2.1 ウィンドウの移動

ウィンドウ上部のタイトルバーをドラッグ(drug) するとウィンドウが移動しま す。

8.2.2.2 サイズ変更(Resize)

ウィンドウ右上隅のボタン (四角が入れ子になっているもの)を,ウィンドウを 越えて外側にドラッグすると,ウィンドウサイズ変更用の枠が現れます。この枠 をさらにウィンドウの外側または内側に向けてドラッグし,望みの大きさになっ たところでマウスのボタンを離します。

8.2.2.3 アイコン化(Iconify)

ウィンドウ左上隅のボタン(点のように見えるボタン)をクリックします。アイコ ンをドラッグすれば移動します。アイコンをクリックすると元のウィンドウに戻 ります。

8.2.2.4 上下関係の変更

ウィンドウが重なっているとき,隠れたウィンドウのタイトルバーをクリック (click) すると,表に出てきます。

8.2.2.5 入力ウィンドウの選択

  1. ふたつのウィンドウの間をマウスで行ったり来たりしてください。ウィ ンドウ上部のタイトルの部分(タイトルバー)やウィンドウ内のカーソルの表 示がどうなるか,観察してください。

  2. ログインしたときから開いていた console というウィンドウの中にマウ スポインタを置いてください。ls や cal などのコマンドを入力して, 実行してみましょう。

  3. もう一方のウィンドウの中にマウスポインタを置いて,コマンドを 入力して実行してみましょう。
タイトルバーが白っぽくなっている 36ウィンドウが,キーボードからの入力対象37となります。

コマンドを実行するウィンドウが違っていても,存在するファイルが同じである ことも確かめておきましょう。

8.2.3 練習

電卓プログラムを使ってウィンドウ操作を練習してみましょう。
  1. まず,画面に存在する何れかのウィンドウで
    xcalc &
    と打って,電卓プログラムを起動してください。
  2. マウスを使って何か計算してみましょう。
  3. 電卓のボタンが小さくて,マウスでの操作がしにくいかもしれません。 ウィンドウの大きさや表示場所を変更して,再度何か計算してみましょう。
  4. キーボードから,数値や +,-,*,/,= などを電卓に入力して 計算してみましょう。
  5. 電卓ウィンドウに対して q を打ち, xcalc を終了させましょう。

8.3 ウィンドウシステムを利用するコマンドの実行

本章以前に紹介したコマンドでは,コマンドを実行したウィンドウ内に出力が文 字表示されたのに対し,本章で紹介した kterm や xcalc を実行すると,新しい ウィンドウが作成されました。 UNIX には これらの他にも,新しいウィンドウが開いてそこに絵が表示されたり,マウスを 使って操作できるコマンドが存在します。これらのコマンドは,実行時に X Window System を必要とするので 38,X アプリケーションと呼ばれることがあります。

X アプリケーションの使用法を個別に学ぶことは,UNIX の学習にとって本質的な ことではありませんが,実行時に新しいウィンドウを生成するコマンドの特徴や, そうでないコマンドとの違いを把握しておくことは大切です。

8.3.1 & ってなーに

以下を実行してください。

  1. 意味不明な & を付けずに
    xcalc
    と打って普通に xcalc を実行し,コマンドを入力したウィンドウ内の様 子を観察しましょう。
    コマンドを入力したウィンドウにプロンプトが現れません。 これは,wc や cat コマンドを,引数を指定せずに実行したときと同様 の状況です。xcalc が実行中であり,xcalc の起動元を占有してしまっ ているために,次のコマンドを入力できない状態になっています。

  2. 電卓のウィンドウに対して q を入力し,xcalc を終了してください。
    プロンプトが現れます。

    ls や cal 等は,結果を表示したらすぐに終了するので,放っておいて も新しくプロンプトが表示されます。それに対して,起動時にウィンド ウを生成するコマンドは,通常,明示的に終了の操作をしないと止まり ません。そのため,コマンドの起動元にはプロンプトは現れず,そのま まだと別のコマンドを実行できません。

  3. 再度 & を付けずに xcalc を実行し,引き続いて起動元のウィン ドウで CTRL-c を押しましょう。
    xcalc を実行すると新しい電卓のウィンドウが現れますが,xcalc とい うコマンド自身はコマンドの起動元で動いていると考えてください。そ こに対して CTRL-c を入力すると,xcalc は強制終了します。

  4. xcalc & で xcalc を起動して,起動元ウィンドウに着目しま しょう。プロンプトに対して,CTRL-c を押しましょう。 続いて ls と打ちましょう。
    & を付けてコマンドを実行すると,そのコマンドは,起動元で裏側に 隠れて動き出します39 。この状態では,xcalc の起動元から xcalc を制御(終了)することはできません。その代わりに別のコマンド を実行することが可能になります。

  5. xcalc は電卓のウィンドウに q を入力して終了できるので, この方法で xcalc を終了しましょう。

8.3.1.1 & の利用に関する注意

今の段階では,& をつけてコマンドを実行するのは,起動時に新規ウィンドウ を生成する X アプリケーションの場合だけにしてください。それ以外のコマン ドに & を付けて実行した結果,よくわからない状態になってしまったら,
fg
というコマンドを実行してください。それでもよくわからない状態であれば, CTRL-d や CTRL-c を打ってみてください。

8.3.2 練習

  1. man man & を実行するとどうなるか,試してください。 続いて,今実行した man コマンドを正常に終了させてください。

  2. 次のコマンドを & を付けずに実行して終了しましょう。次に,& を付 けて実行してみましょう。
    1. xclock
    2. xeyes
    3. kterm

    資料作成者の知る限りにおいて,xclock や xeyes を,生成されたウィ ンドウへのキー入力で終了させる方法はありません。電卓は q で終りま したが,時計や目は q では終わりません。ですから,これらを & を付 して実行してしまうと,これまでに紹介した方法では止められず,ログ アウトするしかありません40。時計や目をたくさん画面に並べるのは止めておきま しょう。

    kterm を終了するには,終了させたい kterm のウィンドウ内で exitと打ちます。ただし,ワークステーション室のシステムの場合, console というウィンドウで exit を入力すると,すべてのウィンドウ が閉じてログアウトしますので注意しましょう。


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平成17年12月7日