これまでにも man コマンドでいろいろなことを調べてきましたが,ここで man コマンドの使い方を整理しておきます。UNIX は開発当初から「紙のマニュアル を用意しなくても利用できる」ように設計されています。つまりマニュアルは計 算機内に格納されており,いつでも参照することができます。これをオンライン マニュアルといいます。
man コマンドでオンラインマニュアルを閲覧するには,コマンド等の調べたい事 項(name)を引数に指定して,man name を実行します。例 えば man コマンド自身の使い方を知りたいときには man man とします 27 。
ユーザーが頻繁に利用する代表的なコマンドのマニュアルには日本語訳がありま す。man コマンドで日本語マニュアルが表示されない場合には,jman コマンド を試してみましょう。
man あるいは jman コマンドを実行すると,マニュアルの最初のページが表示さ れた状態で止まります。これは,man や jman が内部的に more コマンドを起動 し,more がマニュアルを表示しているからです28。 第4.6節で紹介したとおり,more は pager という種 類のプログラムであり,画面に納まりきれない長い文書を一画面毎に表示します 29。 man コマンドによるマニュアル閲覧の基本操作は以下のとおりですが,さらに詳 細を知りたければ more のマニュアルを見てください30。
man コマンドで表示されるマニュアルページは
次に示すのは man コマンドのマニュアルページにおける SYNOPSIS (書式) の例です。
man [-adfhkotw] [-m machine] [-p string] [-M path] [-P pager] [-S list] [section] name ...
例えば,w3m というページャーが動作するシステムでは, man -P w3m man を実行することで,w3m を使ってマニュアル を閲覧できます31。
man コマンドの SYNOPSIS には name ... とありますから,man では何 を調べたいかを指定する引数 (name) を複数指定できます。例えば man cp mv で,cp と mv のマニュアルが読めます。
正確なコマンド名を知らなくても,キーワードからコマンド名などを検索するこ とができます。 そのためには「man -k キーワード」 32を実行します。 この実行形式では,man コマンドの SYNOPSIS (書式) における name の箇所に キーワードを指定していることになります。
SEE ALSO apropos(1), groff(1), manpath(1), more(1), whatis(1), man(7), mdoc(7)
ここでコマンドと思しき単語の後ろには「(数字)」 が書いてあります。 マニュアルページには複数のセクション (section) が存在する場合があ り,「(数字)」はそのセクションを表しています。例えば,「man (7)」 は man のマニュアルページ・セクション 7 も見てください,というこ とです。
さて,man man を実行すると,man (1) が表示されます。では,man (7) を読むにはどうしたらいいのでしょうか。man (1)の SYNOPSIS をよく見 て,実行してください。