Excelにて入力,加工したデータは,通常Excel形式のファイルとして保存されますが,他の形式のファイルとしても保存することが可能です.もちろん他の形式のファイルであってもExcelにて読み込めます.Excel形式以外の他のファイル形式として,主なものは以下のものです. i
ここであげたファイル形式はテキストファイルであり,データ項目の区切りにどのような文字を使うかで分類することができます.
練習用のワークシートを data04.xls として用意しています.これをダウンロードして適切な場所に保存し,開きます.このデータを csv形式 として保存します.メニューの「ファイル」-->「名前をつけて保存」と選択し,「ファイルの種類」を「CSV(カンマ区切り)(*.csv)」に変更したうえで保存します.ちなみにCSVは略語で Comma Separated Values という意味になります. なお,ファイル名は data04.csv として適切な場所に保存しましょうii.
ここで,いったん Excel を終了させます.
まずは「マイコンピュータ」から先ほど保存したファイルがあるか確認します. iii テキストファイルを作成・編集するソフトウェアをテキストエディタと呼びます(以下「エディタ」と呼びます).Windows XP では「メモ帳」という簡易なエディタが利用可能ですが.今回は I ドライブにある「TeraPad」というエディタで先ほどのファイル data04.csv を開いてみます. iv
この図のように,データが行ごとに改行され,また列ごとに「,」(カンマ)で区切られていることがわかりますね.
さきほど解説したように,csv形式のファイルはテキストファイルですのでエディタにて作成することが可能です.ここでは,下記のデータを例題としてTeraPadに入力し,csv形式のファイルとして保存しましょう(ファイル名は data05.csv とします).そして作成,保存したファイルをExcelで読み込んでみてください.上手く表示されていますか?
調査月,支持する,支持しない 1月,29,59 2月,21,64 3月,, 4月,27,59 5月,28,55
NHK放送文化研究所「政治意識月例調査」(2011年5月版)より作成.
※3月調査は東日本大震災発生で調査打ち切り
Excelできちんと読み込めたのなら,Excel形式のファイルとして保存します(ファイル名は data05.xls とします).
このようにcsv形式(prn形式やtxt形式も含む)のファイルはテキストファイルなので,Excelを使わずに作成することが簡単にできます.またExcel以外の表計算ソフトでも読み込むことができるため,大量のデータを入力する場合やウェブサイトを通じてデータを配布したい場合によく使われるファイル形式です.
ここでは,テキスト「5. 表計算とグラフ作成」の「表4:函館市年齢別人口表」を保存したファイル data03.xls を Excel で開き,グラフを作成します.その後,より読みやすいものへ修正します.
今回は,年齢層による男女の人口の変化がわかりやすいように「折れ線グラフ」を使うことにし,グラフの種類のみを指定してグラフを作成してみます.すると下の図のようになります.まずはこれを眺めてみましょう.
レポートや論文でのグラフの役目は,自分の意見の根拠を示したり,その補強を行うことです.したがって,第三者が読む際に,最低限必要な項目が盛り込まれていなければなりません.
今回の授業では「数値軸」「項目軸」および「凡例」を,グラフに必要な要素とします.
Excelでグラフを作成すると最初自動的に「グラフタイトル」がつくことがあります.ただし,ここで作成したグラフは論文やレポート,プレゼンテーション資料などに取り込んで(貼り付けて)利用することが多いと思われます.
論文,レポートを作成するためにワープロを利用したり,プレゼンテーション資料を作成するために専用のソフトウェアを利用することになりますが,それぞれのソフトウェアでグラフタイトルを入れることが可能です.これを図の「キャプション」(caption) と呼ぶこともあります.
したがって,このテキストでグラフを作成・修正する段階では,あえてグラフタイトルを入れないこととします.
凡例(はんれい)は,グラフを読む際の手がかりになります.例えば,上の図の折れ線グラフ でいうと,凡例がない場合,どの折れ線がどの項目の変化を示しているのか,わかりません.
凡例の文字列が長く,読みづらい場合,修正する必要があります.ただし,フォントの種類や大きさは,凡例の上で右クリックして表示される「凡例の書式設定」において変更可能ですが,文字列自体は対応するセルを書き換えないと変更できません.
さきほど作成した折れ線グラフを見てください.
まず「数値軸」ですが,0から16000まで2000ずつ目盛りがとられ,目盛り線が描かれています.目盛りや線をこれ以上増やすとグラフが読みにくくなりますので,1000毎の補助目盛りを入れてみます.
一方「項目軸」ですが,この軸に対応する各セルのデータ(文字列)が長いため,読みづらくなっています.そのため項目軸のフォントの大きさを変更したり,対応するワークシート内のデータ自体を変更して修正します.また,折れ線グラフ上の各点の位置と項目軸の目盛りは対応する場所にあるのがよいでしょう。
数値軸に補助目盛りを付けるには,「軸の書式設定」の「パターン」タブで補助目盛の選択をします.また「目盛」タブを選択したうえで,「目盛間隔」に適切な数値を入力します.その際に「自動」のチェックを外しておくことをお忘れなく.項目軸の目盛りとグラフ上の点の位置を合わせるには,「目盛」タブから「項目境界で交差する」のチェックを外します。さらに,プロットエリアで「グラフのオプション」を選択することで,数値軸や項目軸に名称をつけることができます.
ここまで解説したようにグラフを修正した結果が下の図です.説明に必要な要素がきちんと含まれていることを確認してみましょう.
作業を終えたらワークシートを上書き保存しておきましょう.
ここまで表計算ソフトでのデータ入力およびグラフ作成について学びました.表計算ソフトでグラフを作成するのは,レポートや論文などで利用するためです.
本章では,レポートや論文を執筆する際に良く利用されるワープロにおいて,表計算ソフトで作成されたグラフを利用する方法を学びます. 具体的には Excel で作成したグラフをワープロの Word の文書に貼り付ける方法について学びます.
貼り付けるグラフには第3章で作成したものを利用します.
ExcelとWordを起動させておき,それぞれのウィンドウを開いておく.
グラフを文書に貼りつけたままでは良くありません. レポートや論文でグラフを用いる際は,グラフの内容を適切に表したタイトル(キャプション)とつける必要があり.かつ,そのグラフがどのようなデータに基づいているのか(データを参照しているのか)を「出典」として記述する必要があります. ここではグラフを作成する際に参照したデータがありますので,それをもとにタイトルと出典を記しましょう.
グラフのタイトルには番号が必要ですが,Word の「図表番号」の機能を用いると,自動的に図や表のタイトルに通し番号を付けることができます.図表番号は,Word メニューの「挿入」->「参照」->「図表番号」にあります.タイトルは文書に直接書くことができます.
またExcelのグラフ作成機能には,グラフに対して出典などの注釈を直接つける機能がないので,Wordの「テキストボックス」の機能が使えます.グラフのタイトルも含めてテキストボックスに入れることもできます.
Wordのメニューから「挿入」--->「テキストボックス」--->「横書き」と選択します.つぎに,テキストボックスを置きたい任意の場所で,マウスをドラッグします.
適当な大きさまでドラッグしたら,テキストボックスの完成です.ボックス内では普通の文書作成と同様に文字入力ができます.テキストボックスはクリックし,選択してやることで,位置や大きさを調整することができます.テキストボックスをマウスで選択して,右クリックから「テキストボックスの書式設定」メニューを選択すれば,さらに様々な表示設定を行うことができます(グラフの貼り付け例).
Excelで入力したデータを「表」としてWordの文書に貼りつけるには,まず貼りつけたいデータを範囲指定します. vii
範囲指定したデータを「コピー」したら,Wordにてメニューから「編集」--->「貼り付け」を選びます.
ここではグラフの場合と同様の操作で貼りつけます.うまく貼りつけられたでしょうか. なお,文書に貼りつけた表にもタイトルと出典をつけるのをお忘れなく.
もし,ここの操作により困る現象がおきるとしたら,データを貼りつける際に「編集」メニューの「形式を選択して貼り付け」から「Microsoft Excel グラフ オブジェクト」を選択した場合です.
これは,Microsoft社の「OLE」という機能を使った操作ですが,この授業ではとりあげません.気になる人は、ExcelやWordのヘルプや, 検索サイトなどで,情報収集して確かめましょう.
脚注