第2-3回目:Webサイトを通じての情報検索

1.授業の目的

2.授業の内容

時間の都合上,授業の進み具合によっては,テキストの内容の一部を来週に振り替えることがあります.

3.Webサイトでの情報検索について

3-1.Webサイトで情報を探そう

インターネットでは,WWW(World Wide Web)のかたちで,多くの情報が存在しています.

それらのWebサイトを「ブラウザ」を用いて閲覧することができますが,現在,Webサイトの数は膨大であり,さらに増えていますので,自分が必要とする情報を,その中から探し出すことは困難といえます.

そのため,情報を探す苦労を少しでも減らすために,Webサイト上のサービスとして,情報を検索できるものが提供されています.今回はこのサービスを利用して,自分が必要とする情報を探してみましょう.

3-2.検索サービス

まずは「検索サービス」について説明します.このサービスでは,自分が探している情報について,関連するキーワードを用いて探すことになります.

具体的にいうと,検索サービスの側では,インターネットにて公開されているWebサイトにある文字情報を,自動的に集めて来て,データベースをつくっています.この作業では,「ロボット」とよばれるプログラムを利用し,自動的に情報を収集しています.

利用者は検索サービスにおいて,キーワード検索を行うことで,目的とする情報を探すのです.実際には,そのキーワードを含むページをもつWebサイトがあるかどうかを検索することになりますi

この方法で,実際の検索結果として出てくるものは,あくまでそのキーワードが含まれているということだけです.たとえば「学園祭」というキーワードで検索をしてみても,その結果,見つかったページは,昨年度の学園祭の情報かもしれません.また,検索した結果が大量にあり,その中から必要とする情報が載ったページを探すのに苦労するかもしれません.

このため検索サービスを利用した情報検索では,「しぼりこみ」という方法で,必要とする情報を探しだすことができるようになっています.

「しぼりこみ」として良く用いられる方法は,「and検索」という方法です.この方法では,複数のキーワードを指定し,それらを同時に含んでいるページを検索することができます.

この「and検索」や他の「しぼりこみ」の方法については,それぞれの検索サービスにおいて説明されていますので,6.ではそれらを参考にしぼりこんだ検索をやってみます.

3-3.ディレクトリサービス

つぎに「ディレクトリサービス」について説明します.ディレクトリ(directory)という言葉を辞書でひいてみると,「住所録」「人名簿」「要覧」といった意味であることがわかります.ディレクトリサービスを提供しているWebサイトでは,いろんな情報を項目別に分類しています.

Web上の情報の分類を行う際は,このディレクトリサービスの運営者において,どのような情報(が載っているWebサイト)を登録し,分類するのかについて,取捨選択を行っています.

そして,利用者が情報を探しやすいように,ひとつの分類の中に,さらに小さな項目別の分類がある,というように整理されています ii

たとえば,大学の学園祭について,Web上の情報を探そうという場合,もし,<教育>という大きい分類の中に,より小さい分類として<大学>というものがあり,さらにその中に<学園祭>という分類があったとします.

このような場合,以下のように分類をたどりながら情報を探すことになります.

<教育> --> <大学> --> <学園祭>

上の例はあくまで例としてあげているので,実際のWeb上のディレクトリサービスでは,違った分類の仕方かもしれません.

この後,実際に情報を探すことをやってみますが,そこで利用するディレクトリサービスにおいて,探している情報が北海道の○○大学の学園祭の情報ならば,

<教育> --> <大学> --> <地域別> --> <北海道> --> <○○大学>

というように分類をたどっていきますし,

<地域情報> --> <日本の地方、都道府県> --> <北海道> --> <教育> --> <大学> --> <○○大学>

というように,たどることもできます.

ここで説明したように,目的の情報を探し当てるまでに,たどる「みちすじ」はひとつだけ,とは限らず複数あることがあります.これは利用するディレクトリサービスが,どのように情報を分類し,整理しているかによります.

3-4.探してきた情報を吟味する

Web上の情報検索によって探し出してきた情報を,吟味せずにそのまま信頼することは推奨できません.

他のものと比べてWeb上の情報は,それが信頼できるものかどうか,よく調べないとわかりづらいからです.

この後5.では上記の事柄について,実際にチェックリストを利用して吟味してみます.

4.実際に情報検索してみよう

4-1.検索サービスを利用して情報を探してみる

ここでは検索サービスを提供しているサイトがいくつかあります,それらを利用し,実際に情報を探してみましょう.

その1,例その2

ここでも,担当者から指示されたテーマにて情報を探してみます.

4-2.ディレクトリサービスを利用して情報を探してみる

つぎに実際にディレクトリサービスを提供しているWebサイトにて,情報を探してみましょう.

今回例示したWebサイトの「Yahoo!JAPAN」ではディレクトリ以外のサービスも提供しています.

この例ではディレクトリサービスは図1に示している箇所(「Yahoo!カテゴリ」)になります.そこでは図2のように,いくつかの「カテゴリ」として情報が分類されているのがわかります.

それでは,担当者から指示されたテーマにて情報を探してみましょう.

いま挙げたもの以外にも各種検索サービスがあります.それらが用意している「ディレクトリ(カテゴリ)」を比べてみましょう.

5.探してきた情報を吟味する:Webサイトの批判的な読みとり

レポートの作成であれ,趣味の時間であれ,Webサイトのリソース参照が,日常生活の一部となっている人もいるでしょう. 得られた情報がどれほど信頼に足るかについては,「図書」でも「Webサイト」でも大差はありません.

このような「眼前の情報をうのみにしない」姿勢は,たえず必要なことでしょう. ただし,Web上の資料を参照する上で,より注意を要する点もあります. そこでは,Web検索の方法とともに,得られた情報をどう吟味するかについても考えてみましょう.

有賀妙子氏・吉田智子氏による「Webページを批判的に読むためのチェックリスト」を参考に,Webサイト上のリソースに対してどういった視点で接するかを試してみましょう.今回はとりあえず次の点にしぼって考えてみますiii

ブラウザの「ブックマーク」だけではなく,手元にもメモを控えておきましょう. これは,今後レポートや論文にて活用するためにも必要な作業です.

6.条件をしぼった検索の練習

6-1.and検索とor検索

検索サイトの一つ「Google」http://www.google.co.jp/「検索オプション」を利用してみましょう.

いま「函館についての観光情報」を探しているとします.「すべてのキーワードを含む」欄に,「函館」「観光」という検索語を入力します.単語間には「空白」を入れます. これを「and検索」といいます.

次に,「or検索」を試してみましょう.複数の検索語のいずれかが含まれているWebページを検索できます.「すべてのキーワードを含む」欄に「函館」を,「いずれかのキーワードを含む」欄に,「観光」と「旅行」を空白をはさんで入力します.検索結果は,どうなっていますか.

and検索が「しぼりこみ」をかけるのに対して,or検索は,検索の範囲を広げるのに適しています.

6-2.検索範囲を限定する

検索語での工夫に加えて,探す範囲を指定することもできます. 例題として,先の観光情報の検索を,北海道の自治体が提示している情報に限定して行ってみます.

「ドメイン」欄に,「hokkaido.jp」と入力して,直前のor検索をもう一度行ってみましょう.先程の検索で冒頭に示されていた,http://www.hakodate-kankou.com/などは検索結果から外れていることが確認できますね.

6-3.検索サービスの種類

浅井勇夫氏の手による「検索デスク SearchDesk」 では,多くの検索サービス紹介とその分析がなされています.複数のサービスで,検索を試してみることをお勧めします.

7.特定の情報提供サイトを利用する

7-1.データベースサービスの利用

仮に,皆さんが「社会学に関する文献を探したい」とした場合,日本社会学会が提供する「社会学文献情報データベース」を利用することをおすすめします.

また,経済学に関して調べたい場合,大阪市立大経済研究所が提供している,「OCU ERI-Biblio(経済学文献目録)」を利用してはどうでしょう.

最近では,このような学術系の文献データベースも多く開設されはじめています. 国立国会図書館が提供する「データベースナビゲーションサービス:Dnavi」では,こうしたデータベース自体を検索することができます.

7-2.リンク集を利用する

特定のテーマに沿って各種情報を整理したサイトもあります.

まず,最初に紹介するのは,翻訳者の二木麻里(ふたき・まり)さんが運営されている, 「ARIADNE(アリアドネ)」です.「12 社会学と民族研究」内に,さきほど紹介した「社会学文献情報データベース」へのリンクがあります.

立命館大学大学院先端総合学術研究科の立岩信也さんが制作,運営されている, 「arsvi.com」では,生命倫理や社会福祉の興味ある学生にとって有益な情報を提供してくれることと思います.

最後に紹介するのは,ネット上に(数多くある)が「書評」です. あるテーマにそって文献を探す際,各種メディアに掲載される書評が結構参考になりますiv. ネット上でも多くの書評を読むことが(自分で書くことも)できますが,今回は大手ネット書店のwebサイトで読めるものを紹介します.「オンライン書店ビーケーワン:書評ポータル」です.

ここでは書評データベースという形をとっていますが,お勧めの書評へのリンクもあります.

7-3.学内で利用できる検索サービス

学内では,附属図書館が提供している各種検索サービスを利用することができます. まずは附属図書館のWebサイトをみてみましょう.

皆さんが一番よく利用するのは蔵書検索(OPAC)でしょう.「蔵書検索」のリンクをたどると,一般的な検索サービスの利用の仕方と同様に蔵書検索が行えます.

また「GeNii(学術コンテンツ・ポータル)」では学術論文の検索を行うことができ,CD-ROM版のデータベース検索や新聞記事の検索などもできますので,研究・学習に大いに利用してください.

8.探し出したwebサイトが閲覧できなったとき

ウェブ上のリソースに特有の問題として,ある時期閲覧できたページが移転したり削除されて閲覧できなくなっているケースがあります. そんな場合に,役立ちそうなサービスがいくつかあります.

一つには,各種検索サイトの「キャッシュ」機能を使うことです. 検索結果一覧に示された,各リソースの下にある「キャッシュ」ページから,その検索サービスを提供する会社の蓄えているデータを閲覧することができます.

もう一つには,その時々のウェブページを「アーカイブ」として蓄積している事業があります.アメリカのサンフランシスコにある,「The Internet Archive」というNPOが公開,運営しているWebサイト「Wayback Machine」では,時期とURLの指定によって,過去のウェブページを参照できます.

ちなみに,日本でも実験段階ですが,国立国会図書館の運営する「インターネット資源蓄積実験事業(WARP)」 が始まっています.この事業では主に公的機関(都道府県,市町村が開設しているWebサイト)や公的なイベントに関する情報などを中心に情報収集と蓄積を行っているようです.

脚注

  1. 最近では,文字情報だけでなく,画像情報などについても検索することができるサービスが提供されているようです.
  2. 普段に目にするものの中では,職業別電話帳(タウンページ)を想像するといいでしょう.
  3. ここで扱った内容をさらに深めた文献が出版されています.『新インターネット講座ーネットワークリテラシーを身につけるー(第3版)』(有賀妙子・吉田智子(共著),北大路書房1,800円+税,ISBN4-7628-2416-X)
  4. または「何か面白い本はないだろうか」といくつか書評を読んで探してみる,というやり方もあります.