5. ワードプロセッサを用いた文書作成
目次
1. 今回の目的
- 文字の入力,コピー,削除,貼り付け,操作の取消等の文書編集の基本操作ができる。
- フォント選択や文字の各種修飾を行うことができる。
- 案内文などの定型文書を作成するために,右寄せ,中央揃え,箇条書き,タブストップ等を適切に使用できる。
- 論文や報告書等の文書を作成するために,見出しや本文などの適切な「スタイル」を使うことができる。
2. ワードプロセッサによる文書作成
コンピュータで文書を作成するためのアプリケーションのひとつとして,ワードプロセッサ (ワープロと略されることが多い) があります1。 今回の授業では,ワードプロセッサを利用した文書の作成についての基本的な説明と実習を行います2。 ワードプロセッサには様々なものがありますが, この授業では Microsoft Office Word 2016 (以下,Word と呼ぶ) を使った操作を想定して説明します3。
2.1. ワードプロセッサの特徴と利点
- 文章の修正や加筆が可能
- 再利用が容易
- 文書の体裁を確認しながら文書作成ができる4
2.2. 基本操作
2.2.1. 起動
Windows のスタートメニューから起動できます。 この授業では,起動後に選択するテンプレートとして「白紙の文書」のみを使います。
2.2.2. ファイルへの保存とファイル形式
Word で作成した文書をファイルに保存するには,Word のウィンドウ上部の「ファイル」タブをクリックし, 「名前を付けて保存」をクリックします。 続いて「参照」をクリックすると,場所(フォルダ)やファイル名,ファイルの種類を指定して,文書を保存することができます。
作成した文書をファイルに保存する際の 標準のファイルの種類は, 拡張子が docx の Word 文書形式です。 他のワープロソフトでも共通に使えるファイル形式 (OpenDocument形式)への保存や, 文書の配布に適した PDF 形式への保存もできます。
一度保存したことのある文書を再度編集し,同じファイル名で保存するには「ファイル」タブの「上書き保存」を使ってください。 上書き保存は,キーボードから Ctrl-s (Ctrl キーを押したまま s を押す)でも行えます。 このようなキーボード操作をキーボードショートカットと呼ぶことがあります。
2.3. 文書編集の基本
2.3.1. 編集操作の基本的な考え方
入力した文書の一部を編集操作する際の基本的な考え方は
- 操作対象を選択して
- 操作する
です。操作対象の選択は次の方法で行えます。
- 文字や文字範囲の選択法:
- マウスでドラッグ
- Shift-矢印キー (Shift キーを押しながら矢印のキーを押す)
- 単一行の選択法: 行にカーソルを乗せる(行を右に寄せるなどの操作では,この方法で対象の行を選択できる)
2.3.2. 切り取り・コピー・貼り付け
文書中の文字範囲の切り取りやコピーなどの操作は, 操作対象を選択した後で,
- Word のウィンドウ上部に配置されている様々なボタンや
- 右クリックして現れるコンテキストメニュー
などから行うことができますので, 適当に文字を入力し,切り取って別の場所に貼り付ける,などの操作を試してみましょう。
あるいは Shift キーを使った範囲選択と同様に,以下のキーボード操作で行うこともできます。 キーボードのみの操作は正確で速いです(特にタッチタイプと併用する場合)。
- キーボードショートカット
- 切り取り: Ctrl-x
- コピー: Ctrl-c
- 貼り付け: Ctrl-v
2.3.3. 変更の取消とやり直し
誤って行った削除などの操作を取り消す操作は重要です。
- 変更の取消(「元に戻す」): Ctrl-z
この操作はWord のウィンドウ最上部の「クイックアクセスツールバー」にある矢印のボタンでもできます。
操作の「やり直し」も可能です。
- 操作のやり直し: Ctrl-y
「やり直し」も「クイックアクセスツールバー」にボタンがあります。
「元に戻す」と「やり直し」の操作を行って,動作を確認してください。
2.4. スタイルの利用
論文やレポートなどの文章は「章」というまとまりをいくつか組み合わせて作成されます。 また,ひとつの「章」は複数の「節」というより小さいまとまりを組み合わせて構成されています。 論文やレポート等を作成する際には,このような文書の構造を意識する必要があります。
また, 文書作成では,文書の内容と見た目を分離した文書作成が望まれます。 そのために「スタイル」を使うことができます。
2.4.1. 既存スタイルの適用
Word には,「標準」,「見出し1」などのスタイルが予め用意されています。 章や節の見出し部分のスタイルを「見出し1」にすると, そこには予め Word で設定されている,見出しに適したフォントや文字の大きさが 自動的に適用されます。 スタイルの適用はホームタブ右上の「スタイル」で行えます。
図1: 「ホーム」タブ
2.4.2. 既存スタイルの設定変更
スタイルに設定されたフォント等は自分の好みや必要に応じて変更することができます。
例えば,「見出し1」の設定を変更したければ,
「見出し1」ボタンを右クリック -> 変更をクリック
して,「スタイルの変更」ダイアログで変更します。
図2: スタイルの変更
2.4.3. スタイルへのアウトライン番号の設定
「見出し1」スタイルの適用によって,自動的に見出しに番号が付されるようにするには,
アウトラインボタン(「ホーム」タブの「段落」内)-> 新しいアウトラインの定義
の「オプション」を表示し,「レベルと対応付ける見出しスタイル」を「見出し1」にします。
図3: 新しいアウトラインの定義
2.5. 箇条書きの設定変更
2.5.1. 箇条書きの記号変更
箇条書きに使う記号を変更するには
箇条書きボタン右の三角 -> 新しい行頭文字の定義
をクリックし, 「新しい行頭文字の定義」ダイアログで,記号や文字書式などを変更します。
図4: 新しい行頭文字の定義ダイアログ
2.5.2. 番号つき箇条書き(段落番号)の書式変更(参考文献一覧用)
番号付き箇条書き(段落番号)の書式を変更するには,
段落番号ボタン右の三角 -> 新しい番号書式の定義
とクリックし,「新しい番号書式の定義」ダイアログで, 「番号書式」を変更します。
これによって,参考文献一覧に段落番号ボタンを設定すると,文献番号が自動的に付されるようになります。
図5: 番号付き箇条書きの書式設定(1)
図6: 番号付き箇条書きの書式設定(2)
2.6. ページ番号
ページ下部に自動的にページ番号を入れるには
「挿入」タブ -> (ヘッダーとフッター内の)「ページ番号」ボタン
から「ページの下部」を選びます。
文書の本文編集に戻るには, 「ヘッダーとフッターを閉じる」ボタンを押します。
脚注:
他にも文書作成のためのアプリケーションが存在します。Windows には標準でワードパッドやメモ帳が用意されています。
より詳しい高度な利用方法については,ヘルプや書籍などで調べてください。
Word はマイクロソフト社の製品ですが,他にもジャストシステム社の一太郎などの製品があります。 キャンパス内の教育用コンピュータでは無償で利用可能な OpenOffice.org もインストールされています。 その中の OpenOffice.org Writer を利用して文書作成を行うことができます。
このようなワードプロセッサの特性を WYSIWYG (What You See Is What You Get) と呼ぶことがあります。