7. 表計算ソフトウェアによる表とグラフの作成
1. 今回の目的
- データの並べ替えができる。(4-4)
- 表示形式を変更をすることによって見やすい表を作ることができる。
- 目的に応じた種類のグラフを作成することができる。(4-5)
2. 並べ替え(ソート)
表計算ソフトウェアでは,指定した範囲の行を,指定した列の値に基づきに並べ替えることができます。 並べ替えに使う列をキーと言います。
複数の列をキーにすることもできます。 仮にキーを二つ指定した場合,第一のキーで同じ値になっている行があれば,その行がさらに第二のキーで並べ替えられます。
2.1. 方法
並べ替えの方法はいくつかありますが,ここでは基本的かつ汎用的な方法を紹介します。 図 1 を参考に操作を試してください。
- 並べ替えを行う範囲を選択
- 行番号の書かれた場所をクリックやドラッグすると,その行全体を選択可能
- 並べ替える行の直前に列名(データの見出し)がある場合,それも選択範囲に含めるとキー選択しやすい
- 「データ」タブ → 「並べ替え」ボタンを押し,「並べ替え」ダイアログを表示 1
- 1. で行った範囲選択の仕方に合わせて,「先頭行をデータの見出しとして使用する」のチェックの有無を選択
- 「最優先されるキー」などを選択
- 複数のキーを利用する場合は「レベルの追加」ボタンを押下
- 全ての設定が終わったら「OK」
図1: 並べ替え画面の例
2.2. 練習
前回の資料で作成した score.xlsx に対して次の操作をしてください。
- 学生列をキーとして番号の大きな順(降順)に行を並べ替えてください。
- 「元に戻す (ctrl-z)」操作で元の状態に戻してください。
- 合計点が高い順で並べ替えてください。ただし,同点の場合に学生列の番号が小さい順(昇順)で並ぶようにしてください。
- 現在のワークシートをファイルに上書き保存してください。
3. 作表
ここではワークシート上の表を見やすく整えてみます。 前回の資料で作成した jinkou.xlsx を Excel で開き,図 2 のように変更してください。 そのための方法を以下に記します。 ここで紹介するのも Excel のバージョンに依存しない基本的な方法です。 作業を終えたら上書き保存してください。
図2: 作成する表の様子
3.1. 行の挿入
- 行番号を右クリックして行を選択 → 「挿入」を選択
- 複数の行を一度に挿入するには,複数の行を選択してから挿入の操作をする2
3.2. セルの書式設定
まず,書式設定を行いたいセル(の範囲)を選択して(アクティブにして)から,右クリック → 「セルの書式設定…」を選択して,「セルの書式設定」ダイアログを表示してください。 以下の本節の操作は全て「セルの書式設定」ダイアログで行います。
図3: セルの書式設定
3.2.1. 表示形式の設定
- 「表示形式」タブの「分類」の中から,指定したセルに入っているデータの種類を選択
図 2 では,小数を小数点以下第二位まで表示(第三位で四捨五入)するように表示変更しています。 このためには,「分類」から「数値」を選んで設定します。
3.2.2. 文字配置の設定
- 複数セルの結合
- 「配置」タブの「セルを結合する」をチェック(第 2 行に中央揃えで表のタイトル(キャプション)を記入するためにセルを結合します。)
- 中央揃え(センタリング)
- 「配置」タブの「横位置」を操作 3
3.2.3. 罫線
- 「罫線」タブの「線」の「スタイル」を選んでから,セル(の範囲)のどこに罫線を引くかを「罫線」欄で指定 4
4. グラフ
4.1. グラフの種類と用途
グラフを使うことによって,データを視覚化して,データが意味することをわかりやすく表現できます。 まず,主なグラフの種類と,使用目的や用途を紹介します。 以下の各グラフが,Excel の「挿入」タブの「グラフ」のどれに相当するかを考えながら読み進めてください。 用途に応じた適切な種類のグラフを使いましょう。
図4: グラフ作成ボタン
4.1.1. 棒グラフ — 数量の視覚化
- 棒グラフ
- 項目毎の量を棒の長さで視覚化し,比べやすくする。
- 度数分布図(ヒストグラム)
- 階級毎の度数を棒グラフにしたものを,特に,度数分布図(ヒストグラム)という。
- 積み上げ棒グラフ
- 各項目の全体量に加えて,その内訳も視覚化する。
4.1.2. 円グラフと帯グラフ(100% 積み上げ棒グラフ)— 割合の視覚化
- 円グラフ
- 円全体を 100% として,全体における各項目の割合を表現する。
- 見やすい円グラフを作るには,割合の順に項目が並ぶように,予めデータをソートしてからグラフ化するとよい。
- 複数の対象について割合を比較する必要があれば,帯グラフを用いるのがよい。
- 帯グラフ(100% 積み上げ棒グラフ)
- 全体における各項目の割合を表現する。
- 割合の違いの比較に向いている。
4.1.3. 折れ線グラフ — 傾向の視覚化
- 折れ線グラフ
- 一つの量の変化に対して,他の量がどのように変化するかを表現する。
- 典型的な使い方:横軸を時間として,時間の経過に応じた変化の傾向を表現する。
- 個々の値に着目してもらいたければ,マーカー付き折れ線グラフを用いるとよい。
4.1.4. 散布図 — 量の関連性や分布の視覚化
- 散布図
- データを二つの数値の組で表せるとき,それらの間の関連性(相関)やデータの分布を表現する。
- 利用例) 身長と体重の分布や,両者の相関を見る。
4.1.5. レーダーチャート — 項目間のバランスの視覚化
- レーダーチャート
- 互いに関連の薄い複数の項目のバランスを表現する。
- 利用例)教科毎の成績をレーダーチャートにして,得意・不得意科目を知る。
- 利用例)食品の含有成分を表現する。
4.2. グラフの作成
グラフにしたいデータ範囲を選択してから,「挿入」タブの「グラフ」から適当なものを選ぶだけでグラフが作成されます(図 4 参照)。
4.2.1. 例題 1: 棒グラフの挿入
jinkou.xlsx から,人口と世帯数の棒グラフを作ってみます。
- 「名称」,「人口(人)」,「世帯(数)」の 3 列のセルから,列タイトルを含んだ 4 行分を範囲指定
- 「挿入」タブから「グラフ」の「縦棒」ボタンを押して,「2-D 縦棒」の中の「集合縦棒」をクリック
この結果,次のグラフ (図 5) ができあがったら,グラフを適当な場所にドラッグして移動し,ワークシートを上書き保存してください。
図5: 無調整の棒グラフ
4.2.2. グラフの調整
例題 1 で行ったようなグラフの挿入操作だけで作成したグラフは,一般には,そのままは使えません。 何を表すグラフかがわかるように,必要な事項を記入し,かつ見やすいグラフになるように調整する必要があります。
そのためには,
- グラフの領域(グラフエリア)を(クリックして)選択し,
- グラフの右にある + ボタンや,ウィンドウ上部の「グラフツール」の「デザイン」タグ → 「グラフ要素を追加」ボタンからグラフを調整
したり,
- グラフ内で調整したい箇所を選択して右クリックし,書式設定の項目などから設定を調整
する等をします(図 6 参照)。
図6: グラフの調整
次の点に特に注意しましょう。 (操作の様子の動画)
- 軸: 軸の値範囲はデータの値範囲から自動的に決められますが,複数のグラフを見比べるために軸の値範囲を揃えるなど,手動での調整が必要になることがあります。
- そのためには,軸の部分を選択して右クリックし,「軸の書式設定」を選んで,軸の値範囲を指定します。
- 軸ラベル: 通常は,縦・横軸ともに,(単位を含んだ)ラベルが必要です。
- グラフエリアを選択して,「グラフ要素」(+)等から,適当な軸ラベルをつけましょう。
- グラフタイトル: グラフにはタイトルが必要です。グラフの内容をよく表す適切なタイトルを付けましょう。ただし,グラフをワードプロセッサ等に貼り付けて論文等の文章中で利用する場合,グラフにはグラフタイトルを付けず,ワードプロセッサ側で入力するのが一般的です。
- グラフタイトルはクリックやドラッグにより,書き換えや削除,移動ができます。
- 凡例(はんれい): グラフが何を表すかを示すために凡例(例題1では人口(人),世帯(数))が必要なことがあります。
- 凡例とする文字列を変更するには,元のセルの内容を変更します。
4.3. 練習
score.xlsx に次のグラフを作り,ワークシートを上書き保存してください。
5. ファイル提出
作業を終えたら score.xlsx と jinkou.xlsx を 教育支援総合システム (LCU) からの 指示に従って提出してください。