11. テキストファイルの利用

目次

1 ファイルの形式(テキストファイルとバイナリファイル)

ファイルはテキストファイルとバイナリファイルに大別できます。

  • テキストファイル(またはテキスト形式のファイル): 簡単に言えば,文字だけが入っているファイル
  • バイナリファイル(またはバイナリ形式のファイル): テキストファイルでないファイル1

画像や音声の入ったファイルの多くや,Word や Excel で普通に保存したファイルはバイナリファイルです。

2 テキストファイルの利点

Web 等で多くの人とデータをやりとりする際に,テキストファイルがよく使われます。 その理由はテキストファイルの持つ汎用性にあります。 テキストファイルは多くのアプリケーションや OS (Operating System) で共通に使えるファイル形式ですので,Excel などの特定のアプリケーションを持っていなくとも,ファイル内のデータを読むことができます2。 もちろん,Excel でテキストファイルを扱うことも可能です。

3 エディタの利用

3.1 テキストエディタ

テキストファイルを作成したり編集するためのプログラムをテキストエディタ (text editor) といいます。 これを単にエディタと呼ぶことも多いです。 世にはたくさんのエディタがありますが,Windows に標準で付属する「メモ帳」もエディタの一つと言えます。 本校の教育用コンピュータでは,メモ帳より少し高度な機能を持つ TeraPad というエディタも使えます。

3.2 テキストファイルの作成

  1. エディタ(メモ帳)を起動して,いわゆる半角英数字(直接入力)で自分の学籍番号とローマ字氏名を入力してみましょう。
    • メモ帳の起動法: スタート → アクセサリ → メモ帳
  2. 「書式」メニューから文字の大きさやフォントを変更してみましょう。学籍番号と氏名を異なる大きさにできますか。
  3. テキストを myname.txt という名前のファイル(テキストファイル)に保存(名前を付けて保存)してください。
  4. そのファイルをエディタ(Terapad)で開いて,ファイルの内容を確認しましょう。テキストファイルには文字の情報しか入っていないことが確認できましたか。
    • TeraPad の起動法: スタート → TeraPad → TeraPad

3.3 バイナリファイルをエディタで開いてみる

Excel 2016 で「普通に」に作成した jinkou.xlsx をメモ帳で開いてみましょう。

最も簡単なのは,開いているメモ帳のウィンドウに jinkou.xlsx のアイコンをドラッグすることです。

メモ帳で正常表示できるのはテキストファイルだけです。 jinkou.xlsx には,文字がそのまま入っている訳ではなく,Excel ワークシートのいろいろな情報が文字以外の状態で入っていますので,メモ帳では中身を読むことはできません。 これで jinkou.xlsx がバイナリファイルであることが確認できました3

4 表計算ソフトウェアによるテキストファイルの利用

4.1 Excel のデータを CSV 形式で保存

まず,次の手順で jinkou.xlsx 内のデータを CSV 形式のファイルに保存してみましょう。

  1. jinkou.xlsx を Excel で開いてください。
  2. 次の手順で,保存するファイルの形式を「CSV(カンマ区切り)」にします。

    「ファイル」タブ → 名前を付けて保存 → 現在のフォルダ

    の順に進み,「ファイルの種類」として「CSV(カンマ区切り)」を選択してください。

  3. ファイル名は自動的に jinkou.csv になっているはずですので,確認して「保存」ボタンをクリックします。 警告のダイアログが出ますが,「はい」を選んで保存してください。
  4. Excel を終了してください。終了時の保存確認のダイアログでは変更内容を保存しないでください。
  5. jinkou.xlsx が存在するのと同じフォルダに jinkou.csv というファイルができあがったことを確認してください。

4.2 CSV 形式とは

エディタを使って jinkou.csv を開いてみましょう。

  1. メモ帳を起動し,「ファイル」メニューから「開く」を選択してください。
  2. 新しく現れるウィンドウでファイル名を直接打ち込むか,「テキスト文書」でなく「すべてのファイル」を表示させるとマウスでファイル名を選べますので,jinkou.csv を開いてください。

jinkou.csv の内容は,Excel のセルに表示されていた文字が,カンマ (,) と改行で区切られているだけのものです。 これが CSV (comma separated values) と呼ばれる所以です。

CSV 形式のファイルは文字・記号だけを含みますので,もちろんテキストファイルです。

CSV 形式は,行と列を持つ表形式のデータをテキスト形式で表現するために,よく使われます。

4.3 CSV ファイルを Excel で開く

アイコンをダブルクリックすることで,jinkou.csv を Excel で開いてください4。 jinkou.xlsx にあった罫線やグラフが現れませんね。セルの幅も元とは違って均一です。 これは,今開いた jinkou.csv がテキストファイルだからです。

4.4 Excel のデータをタブ区切りテキスト形式で保存

  1. 再度,Excel で jinkou.xlsx を開いてください
  2. 「ファイルの種類」を「テキスト(タブ区切り)」として「ファイル名を付けて保存」してください。ファイル名は自動的に jinkou.txt となります。
  3. 保存したら,Excel は終了してください。終了時にファイルを再度保存しないでください。

ファイル名が .txt で終わるファイルのアイコンをダブルクリックすると,通常の Windows の設定ではメモ帳が起動して,ファイルが開かれます。 ファイルをメモ帳で開いて,元の列が「タブ文字」で区切られていることを確認しましょう。

4.5 Excel で様々な形式のテキストファイルを開くには

Excel でタブ区切りのテキストファイルを開くことも,もちろん,できます。 ここでは,Excel を起動してから,「ファイル」タブからを「開く」操作をしてみましょう。 「ファイルを開く」というウィンドウで「すべてのファイル」を表示すれば,マウスですべての種類を選べます。 ここでテキストファイルを選ぶと「テキストファイルウィザード」というウィンドウが開きます。 これを使うと,様々な形式(列の区切り文字として何を使っているか等)のテキストファイルを,Excel で開くことができます。

5 練習

  1. エディタ(例えばメモ帳)を使って, 1 から 10 までの整数を,次のように空白区切りで 2 行で書いたデータを作り,sum.txt というファイル名で保存してください。

    1 2 3 4 5
    6 7 8 9 10
    
  2. sum.txt を Excel で開き,Excel の計算機能(式は適当なセルに入れる)で合計を求めたら,ワークシートを sum.txt に上書き保存してください。
  3. sum.txt をエディタで開いて,内容を確認してください。

脚注:

1

より正確にいうと,文字コードと若干の制御コードのみを含むファイルがテキストファイルであり,それ以外のファイルがバイナリファイルです。

2

ファイルが記録されたメディアさえ利用可能ならば,テキスト形式で保存されたファイルは 30 年前のものでも使えます。

3

ただし,xlsx で終わるファイル名のファイルには,XML 形式等の複数のファイルがひとつのファイルに圧縮されて入っており, XML 形式はテキスト形式の一種なので,xlsx のファイルからテキスト形式のファイルを取り出すことは可能です。

4

Excel が利用できるコンピュータでは,通常は CSV 形式のファイルのアイコンをダブルクリックすると Excel が起動しますが,そうなっていない場合には Excel を起動して,Excel からの操作でファイルを開いてください。

日付: 2019/7/24

著者: 今野 英明

Validate