コンピュータ上にて,文書を作成するためのアプリケーションのひとつとして,ワードプロセッサ (ワープロと略されることが多い) があります。 i.
今回の授業では,ワードプロセッサを利用した文書の作成について基本的な解説を行い,あわせて実習を行います。なお函館キャンパスに設置されている教育用コンピュータでは,ワードプロセッサとして Microsoft Word 2007 (以下,単に Word と記すことがある) が利用できますので,今回は Word をもとに,解説および実習を進めていきます。 ii.
ただし,今回の授業でふれる事柄は Word 以外のワードプロセッサにおいても応用できるはずです。より詳しい,高度な利用方法については,ヘルプや参考図書を使って調べてください。
ワードプロセッサを用いる場合,作成した文書は電子データのファイルとして保存されることになります。ですので,紙に文字を書き連ねていくのとは異なり,文書の修正,加筆や再利用が簡単にできます。したがって,このワードプロセッサの特性を生かした文書作成を行う必要があります。
さらにワードプロセッサの特性として,最終的に印刷する文書としての内容を確認できることが挙げられます。つまり常に「できあがり」をイメージしながらの文書作成ができるということです。 iii.
最初に,文書を作成する際の「手順」について簡単に説明しておきます。
この手順に従って,ワードプロセッサにて文書を作成する場合,手順の3.以降の作業をワードプロセッサにて行うことになります。
レポートなどの文書を作成する場合,その文書には必ず「題名」や「見出し」をつけます。また,「執筆者の氏名」や「日付」などの情報も入れておくこともあります。
レポートなどの文書は「章」というまとまりをいくつか組み合わせて作成されます。また,ひとつの「章」は複数の「節」というより小さいまとまりを組み合わせて構成されています。 iv.
この「章」や「節」には必ず「見出し」をつけておきます。
ワードプロセッサにて文書を作成する場合,文書の本文は,特に必要がない限り,段落ごとに改行します。これは段落も「章」や「節」を構成する要素のひとつであることを意識しつつ,文書を作成するうえからも必要なことといえます。
ワードプロセッサでは文書において,文字の大きさや種類(書体)を変更することができます。
また,文章の一部や全体を「右寄せ」「中央寄せ」にすることができます。
ただし,自由に,どの文章でも強調したり,寄せたりしてよいわけではありません。
なぜなら,これらの機能は,「題名」や「見出し」を本文と区別しやすくするために用いたり,本文中で強調したい箇所などに対して利用するからです。
あくまでも,文字を強調したり,寄せたりするのは,文書において話の流れをわかりやすく(読みやすく)するために行うのだ,ということです。
なお,詳しいやり方は担当者からの指示に従ってください。
文書を作成している途中で,一定範囲の文書を削除したり,それを別の場所に移動したり,コピーできると便利です。 また,誤って行った操作を取り消すことも,文書作成には必須でしょう。
これらの操作は,マウスを使って行うこともできますが,キーボードだけで行うこともできます。
一般に作業の結果をコンピュータに保存するにはファイルを使います。文書作成の場合も同様です。
ファイルへの保存の際には,ファイルに名前をつける必要があります。ファイル名としては,ファイルの内容がすぐにわかるような名前を使いましょう。
文書作成等の作業が終了していなくとも,万が一の事故に備えて,作業結果を適宜保存することを推奨します。また,ファイル名を変えて保存すると,以前の文書は元のファイル名で残るので,誤ってファイルを消したときのバックアップになります。
さて,本校の教育用コンピュータでは,利用者のファイルを保存する場所として次の4つがあります。
ここで,「Hドライブ」や「マイドキュメント」「デスクトップ」は,どの教育用コンピュータからでも利用できる,各利用者専用のファイルの保存場所です。これらに保存されたファイルは他の利用者によって勝手に読み書きされません。
外部記憶媒体を持参すれば,そこにファイルを保存できますが,最近はこれらを介して感染するコンピュータウィルスが増えています。他のコンピュータで利用したり,他の人が使っていた外部記憶媒体を使うときなどには,ウィルス感染等に注意してください。
今回は,文書ファイルを H ドライブに保存することとします。
文書をファイルに保存したら,そのファイルを再度 Word で開いてみましょう。
表計算ソフトウェアにはいくつかの種類がありますが,この演習では Microsoft Office Excel 2007 (以下,単に Excel と記すことがある) を利用します。 v
表計算ソフトウェアでは,データの入力や計算,統計処理およびグラフの作成等が行えます。これらを行う場所がワークシートです。 Excel では,ワークシートをひとつのファイルに複数作成することが可能です。これをブックと呼びます。また,ワークシート間でお互いのデータを参照することもできます。
ワークシートは,複数のセルで構成されています。セルの位置は列(A列,B列,C列,…)と行(1行,2行,3行,…)との「交差点」で表し,「A1」や「D5」などと表記します。セルには,数字だけでなく,文字列や数式,関数も入力可能です。
黒枠のセルがデータ入力可能な(アクティブな)セルです。データを入力してEnterを押すと,黒枠がひとつ下のセルに移動します。カーソルキー(←↑↓→)で自由に移動します。
数式バーには,アクティブであるセルの計算式が表示されます。数値や文字列のみが入力されている場合には,セルの表示と同一になります。
左側のセル内のデータが長い文字列などの場合に,一部が隠れて見えなくなることがあります。セル幅を変更するには,マウスで画面上のポインタを「列」の境界線上にあわせて適当にドラッグしてください。
表1に従ってデータを入力してください。この入力作業では,「名称」をセル「A1」に入力し,ワークシートの上側や左側に空のセルができないようにしてください。
表1:データの例
名称 | 人口(人) | 世帯(数) |
---|---|---|
A市 | 80000 | 36000 |
B市 | 120000 | 63000 |
C市 | 65000 | 26000 |
以上のデータを入力したワークシートを,Excel 形式のファイル(Microsoft Excel ブック形式)として保存しておきましょう。ファイル名は data01.xlsx としますvi。
シート上の値に対して,演算子を使って合計や平均値等を求めることができます。
計算をする際には,数式で使われる演算子(算術記号)とコンピュータで使う演算子では記号が異なるものがあることに注意しましょう。これは計算機プログラム言語の世界では共通で、四則計算で言えば,足す・引くは同じですが,×(乗算)では *(アスタリスク) を,÷(除算)では/(スラッシュ) を使います。電卓などもそうなってますね.
Excelで計算をするためには,必要なセルの座標を参照しながら数式を入力する必要があります。数式をセルもしくは数式バーに入力する際は=(等号)を数式の先頭に入力し,数値や文字列と区別します。
数式の例:=A1+(A2*B2)
上記の例では,「A1」のセルの値に,「A2」と「B2」の値をかけたものを加算する数式になっています。
それでは,演算子を使って,表 1 から人口の合計と平均を求めて,表 2 のような結果を得てください。「合計」と「平均」の文字も追記してください。
表2:演算子を用いた計算
名称 | 人口(人) | 世帯(数) |
---|---|---|
A市 | 80000 | 36000 |
B市 | 120000 | 63000 |
C市 | 65000 | 26000 |
合計 | 265000 | |
平均 | 88333.33 |
各市の人口がセル「B2 から B4」に入っているとすれば,合計を求めるには,セル「B5」に「=B2+B3+B4」と入力してエンターキーを押せばいいですね。 セルの列を指定するアルファベット(ここではB)は小文字で入力しても構いません。
平均は「=(B2+B3+B4)/3」や「=B5/3」で求めることができます。
表計算ソフトウェアでは,関数を利用することで,複雑な数式を入力せずに計算をさせることができます。 Excel にはいくつかの関数が用意されており,複数の項目間の合計を算出するにはsum関数が,平均値を算出するにはaverage関数が使えます。
関数を利用する場合は,数式と同様に冒頭に「=」を入力します。その後に関数名と,どこからどこまでのセルに適用するのかを入力します。
関数を用いた数式の例:=sum(A1:B20)
上記の例は「A1」から「B20」のセルまでの数値の総計を求めます。 始点のセルと終点のセルを「:」(コロン)で結ぶのがポイントです。
それでは,表 2 に示したワークシートの空欄を埋めるために,世帯(数)の合計と平均を,関数を使って求めてください。
表計算ソフトウェアでは,セルに入力した数式を他のセルに複写 (copy and paste) することで,数式入力の手間を大幅に省くことができます。
3 市各々について,一世帯当たりの平均人数と,3 市中で各市が占める人口の割合を求めることにします。
まず,表 3 の中の「」で囲まれた,A 市の計算を行う二つの式を入力し,値を求めてください。
次に,B 市と C 市の一世帯あたりの平均人数を求めるために,「=B2/C2」と入力したセルの内容(式)を,その下二つの空欄に複写してみましょう。例えば,Excel の「ホーム」タブ左側の「コピー」ボタン等でコピーし,下二つのセルを範囲指定してからエンターキーを押すか「貼り付け」ボタン等で貼り付けてください。 この操作はキーボードの矢印キーや Shift-矢印キー, Ctrl-c (コピー) ,Ctrl-v (貼り付け) でも行えます。
この操作によって,B 市についての値を求める式が自動的に B3/C3 に,C 市については B4/C4 に変わり,思い通りの値を求められることがわかります。
表3:式複写用ワークシート
名称 | 人口(人) | 世帯(数) | 一世帯当たりの平均人数(人) | 3 市における人口の割合 |
---|---|---|---|---|
A市 | 80000 | 36000 | 「=B2/C2」 | 「=B2/B5」 |
B市 | 120000 | 63000 | ||
C市 | 65000 | 26000 | ||
合計 | 265000 | 125000 | ||
平均 | 87666.67 | 41666.67 |
では,3 市における人口の割合についても,同様の複写操作をしてみましょう。
セル「B5」にある人口の合計は複写後の式でも使いたいのに,複写によって式が「B3/B6」や「B4/B7」に変わってしまい,誤った計算をしてしまいますね。
これを正すために「3 市における人口の割合」の A 市の式を「=B2/B5」から「B2/$B$5」に変更してください。計算結果はかわりませんね。この式を,B 市や C 市の欄(すぐ下の二つのセル)に複写してみてください。うまく「B3/$B$5」と「B4/$B$5」となって複写されます。
このように,$ をつけてセルを指定すると,複写しても式中のセルは変わりません。このようなセルの指定(参照)方法を絶対参照と呼びます。一方,$ がない参照方法を相対参照と呼びます。
さて,これまでに作業したワークシートをファイルに保存しておきましょう。 ファイル名が data02.xlsx になるように,「名前を付けて保存」の操作をしてください。
Excel または (Excel のワークシート) を一度閉じてから,新しいワークシートを開き, 表4 のデータを Excel のワークシートに入力(または Web ブラウザから複写)してください。 その後,表の空白部分に適当な値が計算されるように操作を行ってください。「全年齢」行には全年齢層における合計が,「総数(人)」列には男性と女性の合計が,「割合(%)」列には各年齢層の総数が全年齢に占める割合が入るようにしてください。完成したらファイル名 data03.xlsx として保存してください。
表4:函館市年齢別人口表(平成23年4月末日現在)
年齢 | 男性(人) | 女性(人) | 総数(人) | 割合(%) |
---|---|---|---|---|
0歳〜4歳 | 4727 | 4504 | ||
5歳〜9歳 | 5187 | 4880 | ||
10歳〜14歳 | 6021 | 5410 | ||
15歳〜19歳 | 6379 | 6163 | ||
20歳〜24歳 | 5925 | 6149 | ||
25歳〜29歳 | 6493 | 6789 | ||
30歳〜34歳 | 7611 | 7939 | ||
35歳〜39歳 | 9264 | 9771 | ||
40歳〜44歳 | 8477 | 9535 | ||
45歳〜49歳 | 7728 | 9077 | ||
50歳〜54歳 | 8278 | 9565 | ||
55歳〜59歳 | 9983 | 11389 | ||
60歳〜64歳 | 12191 | 14435 | ||
65歳〜69歳 | 8638 | 11032 | ||
70歳〜74歳 | 7693 | 10491 | ||
75歳〜79歳 | 6459 | 9832 | ||
80歳〜84歳 | 4357 | 7595 | ||
85歳〜89歳 | 1981 | 4853 | ||
90歳以上 | 777 | 2699 | ||
全年齢 |
「函館市の人口」(http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/toukei/jinnkou/gi-index.htm)の住民基本台帳人口データ(平成23年4月版)より作成。
脚注