4. Webサイトを通じての情報検索
2013/05/02

1.授業の目的

2.授業の内容

  1. WWWでの情報検索についての説明.
  2. 検索サービスについての説明.
  3. ディレクトリサービスについての説明.
  4. 実際に検索をしてみる.
  5. 絞り込んで検索してみる.
  6. 検索した情報を吟味する.
  7. 特定の情報提供サイトを利用する.

3.Webサイトでの情報検索について

3-1.Webサイトで情報を探そう

インターネットでは,WWW(World Wide Web)のかたちで,多くの情報が存在しています.それらのWebサイトを「Webブラウザ」を用いて閲覧することができますが,現在,Webサイトの数は膨大であり,さらに増えていますので,自分が必要とする情報を,その中から探し出すことは困難といえます.

そのため,情報を探す苦労を少しでも減らすために,Webサイト上のサービスとして,情報を検索できるものが提供されています.今回はこのサービスを利用して,自分が必要とする情報を探してみましょう.

3-2.検索サービス

まずは「検索サービス」について説明します.このサービスでは,自分が探している情報について,関連するキーワードを用いて探すことになります.

具体的にいうと,検索サービスの側では,インターネットにて公開されているWebサイトにある文字情報を,自動的に集めて来て,データベースをつくっています.この作業では,「ロボット」とよばれるプログラムを利用し,自動的に情報を収集しています.

利用者は検索サービスにおいて,キーワード検索を行うことで,目的とする情報を探すのです.実際には,そのキーワードを含むページをもつWebサイトがあるかどうかを検索することになります.i

この方法で,実際の検索結果として出てくるものは,あくまでそのキーワードが含まれているということだけです.たとえば「学園祭」というキーワードで検索をしてみても,その結果,見つかったページは,昨年度の学園祭の情報かもしれません.また,検索した結果が大量にあり,その中から必要とする情報が載ったページを探すのに苦労するかもしれません.

このため検索サービスを利用した情報検索では,絞り込みという方法で,必要とする情報を探しだすことができるようになっています.

「しぼりこみ」として良く用いられる方法は,and検索という方法です.この方法では,複数のキーワードを指定し,それらを同時に含んでいるページを検索することができます.

この「and検索」や他の「しぼりこみ」の方法については,それぞれの検索サービスにおいて説明されていますので,第 5 章ではそれらを参考に実践してみます.

3-3.ディレクトリサービス

つぎに「ディレクトリサービス」について説明します.ディレクトリ(directory)という言葉を辞書でひいてみると,「住所録」「人名簿」「要覧」といった意味であることがわかります.ディレクトリサービスを提供しているWebサイトでは,いろんな情報を項目別に分類しています.

Web上の情報の分類を行う際は,このディレクトリサービスの運営者において,どのような情報(が載っているWebサイト)を登録し,分類するのかについて,取捨選択を行っています.

そして,利用者が情報を探しやすいように,ひとつの分類の中に,さらに小さな項目別の分類がある,というように整理されています. ii

たとえば,大学の学園祭について,Web上の情報を探そうという場合,もし,<教育>という大きい分類の中に,より小さい分類として<大学>というものがあり,さらにその中に<学園祭>という分類があったとします.

このような場合,以下のように分類をたどりながら情報を探すことになります.

<教育> --> <大学> --> <学園祭>

上の例はあくまで例としてあげているので,実際のWeb上のディレクトリサービスでは,違った分類の仕方かもしれません.

この後,実際に情報を探すことをやってみますが,そこで利用するディレクトリサービスにおいて,探している情報が北海道の○○大学の学園祭の情報ならば,

<教育> --> <大学> --> <地域別> --> <北海道> --> <○○大学>

というように分類をたどっていきますし,

<地域情報> --> <日本の地方、都道府県> --> <北海道> --> <教育> --> <大学> --> <○○大学>

というように,たどることもできます.

ここで説明したように,目的の情報を探し当てるまでに,たどる「みちすじ」はひとつだけ,とは限らず複数あることがあります.これは利用するディレクトリサービスが,どのように情報を分類し,整理しているかによります.

4.実際に情報検索してみよう

4-1.検索サービスを利用して情報を探してみる

ここでは検索サービスを提供しているサイトがいくつかあります.それらを利用し,実際に情報を探してみましょう.

その1(Google),例その2(goo)

ここでも,担当者から指示されたテーマにて情報を探してみます.

4-2.ディレクトリサービスを利用して情報を探してみる

つぎに実際にディレクトリサービスを提供しているWebサイトにて情報を探してみましょう.今回例示したWebサイトの「Yahoo!JAPAN カテゴリ」ではディレクトリをいくつかの「カテゴリ」として,情報が分類されていることがわかります.

それでは,担当者から指示されたテーマにて情報を探してみましょう.

いま挙げたもの以外にも各種検索サービスがあります.それらが用意している「ディレクトリ(カテゴリ)」を比べてみましょう.

5.条件をしぼった検索の練習

5-1.and検索とor検索

検索サイトの一つ「Google」(http://www.google.co.jp/)の「検索オプション」を利用してみましょう.

いま「函館についての観光情報」を探しているとします.「すべてのキーワードを含む」欄に,「函館」「観光」という検索語を入力します.単語間には「空白」を入れます. これをand検索といいます.

次に,or検索を試してみましょう.複数の検索語のいずれかが含まれているWebページを検索できます.検索オプションのページの「すべてのキーワードを含む」欄に「函館」を,「いずれかのキーワードを含む」欄に,「観光」と「旅行」を空白をはさんで入力します.検索結果は,どうなっていますか.

and検索が「絞り込み」をかけるのに対して,or検索は,検索の範囲を広げるのに適しています.

5-2.検索範囲を限定する

検索語での工夫に加えて,探す範囲を指定することもできます. 例題として,先の観光情報の検索を,北海道の自治体が提示している情報に限定して行ってみます.

検索オプションページの「ドメイン」欄に,hokkaido.jp と入力して,直前のor検索をもう一度行ってみましょう.先程の検索で冒頭に示されていた,http://www.hakodate-kankou.com/などは検索結果から外れていることが確認できますね.

次に,今表示されているページ上部のキーワード入力欄に「情報 site:.ac.jp」と入力して検索してみましょう。Google の場合には,検索オプションのページを使わなくても,site: に続いて URI (URL) の一部を入力することで,検索するサイトを絞り込めることがわかります。

5-3.検索サービスの種類

浅井勇夫氏の手による「検索デスク SearchDesk」 では,多くの検索サービス紹介とその分析がなされています.複数のサービスで,検索を試してみることをお勧めします.

6.探してきた情報を吟味する

レポートの作成であれ,趣味の時間であれ,Webサイトのリソース参照が,日常生活の一部となっている人もいるでしょう. しかし,その情報が常に正しいとは限りません。 「眼前の情報を鵜呑みにしない」姿勢は,書籍や新聞,雑誌などのメディアの種類にかかわらずに常に必要なことですが, 特に Web サイトの情報の信頼性については,よく注意する必要があります. 得られた情報をよく吟味してから信頼する習慣を身に付けましょう.

得られた情報を吟味する方法としては次のようなものがあります.

  1. その話題に関連する情報を別途参照し,比較してみる
  2. その話題について詳しい人に,資料の信頼度を尋ねてみる
  3. 情報提供者(本の著者やWebサイト制作者)の所属や,他の活動を調べてみる

Web サイト(ページ)の場合には,内容に加えて,次の点に注意しましょうiii

  1. タイトル
  2. 作成者(団体)名
  3. URI(URL)

なお,見つけたサイトをブラウザの「ブックマーク」に保存することは有用ですが,併せて上記の 3 点を吟味してメモとして控えておくのもいいでしょう. これは,レポートや論文にて Web を活用するためにも必要な作業です.

7.学内で利用できる検索サービス

学内では,附属図書館が提供している各種検索サービスを利用することができます. まずは附属図書館のWebサイトを見てみましょう.

皆さんが一番よく利用するのは蔵書検索(OPAC)でしょう.「本学蔵書目録」のリンクをたどると,一般的な検索サービスの利用の仕方と同様に蔵書検索が行えます.

また「学術情報リンク集」から学術論文の検索を行うことができる「CiNii(NII 論文情報ナビゲータ)」を利用したり,電子ブックや電子ジャーナルを閲覧することもできますので,研究・学習に大いに利用してください.

8.特定の情報提供サイトを利用する

8-1.データベースサービスの利用

仮に,皆さんが「社会学に関する文献を探したい」とした場合,日本社会学会が提供する「社会学文献情報データベース」が利用できます.

最近では,このような学術系の文献データベースも多く開設されはじめています. 国立国会図書館が提供する「データベースナビゲーションサービス:Dnavi」では,こうしたデータベース自体を検索することができます.

8-2.リンク集を利用する

特定のテーマに沿って各種情報を整理したサイトもあります.

まず,最初に紹介するのは,翻訳者の二木麻里(ふたき・まり)さんが運営されている, 「ARIADNE(アリアドネ)」です.「12 社会学と民族研究」内に,さきほど紹介した「社会学文献情報データベース」へのリンクもあります.

立命館大学大学院先端総合学術研究科の立岩信也さんが制作,運営されている, 「arsvi.com」では,生命倫理や社会福祉の興味ある学生にとって有益な情報を提供してくれることと思います.

最後に紹介するのは,ネット上に(数多くある)「書評」です. あるテーマにそって文献を探す際,各種メディアに掲載される書評が結構参考になります. ネット上でも多くの書評を読むことが(自分で書くことも)できますが,今回は大手ネット書店のwebサイトで読めるものを紹介します.「オンライン書店ビーケーワン:書評ポータル」です. ここでは書評データベースという形をとっていますが,お勧めの書評へのリンクもあります.

新聞には定期的に書評や新刊書の案内が掲載されていますが,このような書評たちも新聞社のWebサイトで読むことができます.ここでは朝日新聞のものを紹介しますiv

9.探し出したwebサイトが閲覧できなったとき

ウェブ上のリソースに特有の問題として,ある時期閲覧できたページが移転したり削除されて閲覧できなくなっているケースがあります.そんな場合に,役立ちそうなサービスがいくつかあります.

一つには,各種検索サイトの「キャッシュ」機能を使うことです. 検索結果一覧に示された,各リソースの下にある「キャッシュ」ページから,その検索サービスを提供する会社の蓄えているデータを閲覧することができます.

もう一つには,その時々のウェブページを「アーカイブ」として蓄積している事業があります.アメリカのサンフランシスコにある,「The Internet Archive」というNPOが公開,運営しているWebサイト「Wayback Machine」では,時期とURLの指定によって,過去のウェブページを参照できます.

日本でも国立国会図書館の運営する「インターネット資料収集保存事業(ウェブサイト別)」が始まっています.

10.次回までの課題

次回までの課題について説明します.

課題:Web検索を利用した情報収集

下記のリストにある「質問」及び「回答」と,回答を得るために利用した「検索サイト名と検索語(またはカテゴリ名)」及び「答えの載っているウェブページまたはサイトのタイトル(名前)・作成者・URL(URI)」の4項目を書いてください. タイトルや作成者が不明の場合には,その旨を記してください.回答はよく吟味すべきですので,検索サイトや Web ページのタイトル等を複数記述し,回答が正しいと考える理由を書くことが望ましいです.回答は生涯メールシステムを使って授業担当者にメールで送ってください。

脚注

  1. 最近では,文字情報だけでなく,画像情報などについても検索することができるサービスが提供されています.
  2. 普段に目にするものの中では,職業別電話帳(タウンページ)を想像するといいでしょう.
  3. Web ページを自分で作成したり,Web ページを閲覧する際には,有賀妙子氏・吉田智子氏による「Webページを批判的に読むためのチェックリスト」も参考になります。 また,ここで扱った内容をさらに深めた文献が出版されています.『新インターネット講座ーネットワークリテラシーを身につけるー(第3版)』(有賀妙子・吉田智子(共著),北大路書房1,800円+税,ISBN4-7628-2416-X)
  4. 他の新聞社の書評も紹介しておきます.毎日新聞読売新聞北海道新聞